転職、子育てとの両立、働く仲間―、
NGOで働くということ
・飯島史絵(コミュニケーション部・部長) 2009年入職(写真右)
・池田優菜(コミュニケーション部 支援者サービス課職員)2020年入職(写真左)
・佐藤康(コミュニケーション部 広報マーケティング課職員)2024年入職(写真中央)
「グッドネーバーズ・ジャパンで働くって?どんな人たちがいる?」「家庭との両立はできる?」――そんな疑問や不安を持つ方も多いかもしれません。
グッドネーバーズ・ジャパンには、民間企業などさまざまな業界から転職してきたメンバーが活躍しています。今回のインタビューでは、営利セクターから非営利セクターへとキャリアを移した3名のスタッフに、転職の理由や、実際にグッドネーバーズ・ジャパンで働いて感じたこと、そして日々の暮らしと仕事のリアルを語ってもらいました。未経験からのチャレンジ、子育てとの両立、仲間との支え合い、そして「やりたい」を形にできる環境――その等身大の声から、「グッドネーバーズ・ジャパンで働くこと」をご紹介します。
※本記事は2025年3月時点の情報に基づいています。
営利から非営利へ 私たちがグッドネーバーズ・ジャパンを選んだ理由
― 皆さん、今日はどうぞよろしくお願いします。まず、グッドネーバーズ・ジャパンに入職するまでどんな事をしていたか伺いたいのですが、まず飯島さんお願いします。
飯島:大学は北海道の大学に通ってバイオテクノロジー分野の研究をしていました。大学卒業後はアルバイトをしながら写真の専門学校に行き、就職して広告写真のスタジオで二年間アシスタントを務め、その後写真館で受付とかカメラマンをしていました。その後青年海外協力隊(現JICA海外協力隊)でザンビアにエイズ対策隊員として赴任しました。
帰国した後3ヶ月ほどウェブデザインの職業訓練を受け、その後グッドネーバーズ・ジャパンの広報マーケティング部(現コミュニケーション部)へ入職して今に至ります。
グッドネーバーズ・ジャパンへ入職を決めたのは、青年海外協力隊の経験でもっと途上国や世界の未来に関わりたいと思ったのと、これまで得たスキルと経験を活かせると思ったからです。
― 飯島さんが入職した当時は職員が少なかったんですよね。
飯島:そうです。4名ほどしかいませんでした。事務所も今とは違い、文京区本郷にあるとても狭い事務所でした。
― ありがとうございます。では次に池田さん、お願いします。
池田:はい、私は大学を卒業後、メーカーに就職しました。最初は法人向けの海外営業で、その後国内営業にも携わった後、アメリカに2年程駐在をしていました。日本に戻ってきて産休育休を取り、育休明けは人事部で働いていました。
前職での幅広い業務は、自分の成長につながると同時に忙しい時もあり、保育園のお迎えは閉園間際に駆け込む毎日が続いていて、ちょっとしんどくなっていました。1日の大部分を仕事に使う中で、本当に今の仕事を一生続けていくことでいいのかなと思い始めたのが、転職を思い立ったきっかけになったと思います。
― 転職を思いたった時にグッドネーバーズ・ジャパンの求人にタイミングよく出会えたということですか?
池田:そうですね。当時、NPO/NGO業界に全く経験も知見もなかったので、子どもへの支援をしている、かつ未経験でも採用してもらえる可能性がある非営利セクターの仕事という条件で求人を探していました。また、仕事をしていることで、子どもと一緒に過ごす時間が減ってしまうと当時は考えていたので、その時間は自分がやりがいを持って取り組めることに使いたいと思い、様々な勤務条件より、やりがいを優先して転職先を探していました。
― ありがとうございます、では次に佐藤さんお願いします。
佐藤:僕も飯島さんと同じく大学が北海道だったんですけども、大学を出てちょうどその頃にデジタルハリウッドという札幌では当時珍しかったデジタル系の専門学校の札幌校ができるっていうのを聞いて習いに行くことにしました。そこでは主にホームページの作り方を学び、学校の教員に相談したところ、前の会社を紹介されて就職し、20年くらい働きました。
社会人として働きだして20年が経ち、年齢も40歳を超え、仕事もこなれた感じでこのまま後20年くらい働くのかなとぼんやり考えていました。そんな時に前職でやり取りしていた取引先でお世話になった優秀な人がいまして。仕事のやり方や考え方において影響されることが多くすごく憧れていました。その人が早期退職されて、子ども向けの学習支援のボランティアを始めることを聞いて、僕も今までは自分のため、会社のために仕事をしてきたけれども、「誰かのため」に仕事する、という選択肢があるということに気づかされました。そして、自分にも何かしらできないかなと思ったのが転職しようと思ったきっかけです。
― ありがとうございます。みなさん、色々な想いを秘めて入職されているんですね。
― 次の質問は池田さん、佐藤さんにお伺いしたいのですが、営利セクターから非営利セクターに転職した際、営利セクターと何かギャップがありましたか?又、非営利セクターやNPOに入ることへの不安はありましたか?
池田:正直、思っていたほどのギャップはなかったと思います。
非営利セクターの団体は、ご寄付で成り立っている活動だからこそコスト管理とか効率的に業務を進めるとか、その点をすごく重視しているというのは入職して特に感じました。
不安という部分に関しては、前職が規模の大きい会社だったので、少人数で運営しているところに入るという漠然とした不安はありました。私の周りには、同じような業界で働いている人自体がいなかったので、特に私の親は心配していたと思います。
― 池田さんが入職した時は職員数が専従の職員が10名ほどでしたよね。実際に入職して、不安は解消されましたか?
池田:実際に入職してからは、確かに人数規模としては小さいと感じた部分はもちろんありますが、支援者の方のデータ管理や入金管理等、専用のアプリケーションやソフト等を導入していて、すごく進んでいるなって思う部分も逆にあったので、そういう不安は正直すぐに消えました。
― 確かに、非営利=アナログというイメージを持たれる方もまだ多いかもしれませんが、実際は業務の効率化やデジタル化にもかなり注力していますよね。支援者の方々からお預かりしているご寄付を大切に活かすためにも、無駄を省いてできるだけインパクトのある使い方をしようという意識が組織全体にありますよね。池田さんが感じた「思ったより進んでいる」という驚きは、実は入職した多くのスタッフから寄せられる感想です。
― では、佐藤さんお願いします。
佐藤:僕も前の会社が長かったので、非営利とかあまり関係なく単純に転職するということに関する不安はありました。でも、家族からは「頑張れ」という一言がもらえたので、まあやってみようかなっていう気持ちで、チャレンジできました。
あと、池田さんと逆で、僕が前に勤めていたところは5人しか社員いなかった一方で、グッドネーバーズ・ジャパンは当時すでに約60名程の職員がいました。転職先の方が大きいなって思ったぐらいで逆にやれるか少し不安でした。
― 「NPOだから小さな組織」というイメージとは逆で、前職よりも大きく感じるというのはちょっと意外かもしれませんね。
「やりたい」が叶う職場って楽しい!日々楽しく働くには?
― では次に楽しく働くコツを教えてください。
飯島:自分で仕事を探す・作るようにすると「やらされる」仕事が入る隙間が無くなります。私はこれやったらいいんじゃないかとか思う事を日々見つけるようにしています。グッドネーバーズ・ジャパンはアイディアを出すと「やってみろ」と背中を押してくれる場合が多いので、自分のやりたいことに挑戦できるというのは、「楽しさ」に繋がると思います。
― そうですね。どんな職種でも新しいアイデア歓迎という部分がグッドネーバーズ・ジャパンの魅力の一つでもありますよね。では次に佐藤さん、お願いします。
佐藤:楽しく働いている人の傍って楽しくないですか?僕もそうなれたらなといつも思っているのですが、今楽しく仕事ができているのは楽しい雰囲気があるところに身を置けているからかなって思うんです。事務所の広報の机の隣に支援者サービス課の机があり、時々皆さんが話しているのを聞きながら仕事をしていますが、それがとても面白いんです。
飯島:佐藤さん、良く仕事しながら「ふっ」って笑っていますよね?
佐藤:そうなんです。ついつい聞いちゃってるのですが、みなさん楽しそうで、こちらも楽しくなります。
― では、池田さんは、いかがですか?
池田:私はメリハリをつけるっていうのはあるかなと思っています。私は在宅勤務の日もあるので、仕事とそれ以外の部分でオンオフつけるのがなかなか難しいこともあります。でもそれは意識的に、無理やりにでもオンオフを付けるようにはしています。
あと、飯島さんが言っていた、やりたいことに手を上げて「こんなことをやりたいです」と言うと、「どうぞ」と言ってくれるような環境ではあるので、それは確かに楽しむコツだなと思いました。
― 経営企画室:池田さん、今どのぐらいの頻度で事務所に出勤しているんですか?
池田:週3在宅勤務で、週2出勤っていう週が多いですね。
― みなさん、在宅勤務と事務所出勤を使い分けながら自分のライフスタイルにあった勤務ができているってことですよね。職種によっては在宅勤務の頻度が限られることもありますが、たとえば外部からの電話を在宅で受けられたり、チャットツールでいつでも仲間と連絡が取れたりと、柔軟に働ける環境が整えられてきていますよね。
飯島:実はグッドネーバーズ・ジャパンには、コロナより前から在宅勤務制度があったんです。きっかけは東日本大震災で、翌日には制度が整いました。
― そうでしたね。様々な事情があっても働きやすい職場を作ろうという風土はその頃からありましたね。
お掃除ロボとミールキットと仲間の力。リアルな“ワークライフ”ストーリー
― では次に、皆さんお子さんがいますが、家事と育児、仕事を両立することの難しさと、それをどう解決していくかをお聞きしたいです。
飯島:下の子がこの4月で小学3年生になって手がかからなくなってきたということもあると思うのですが、両立の難しさは普段の日常生活で私はそれほど感じていないです。夫は家事は一通りできますし、義理の実家の家がすぐ近くにあるので、それも大きいですね。
うちは夫の海外出張が多くて2、3ヶ月家にいて2、3ヶ月不在という様なサイクルを繰り返しているので、その間は完全に一人でワンオペみたいなことはやっているんですけど、諦めるものは諦めるみたいな感じでやっています。
― 飯島さん、「家族のお箸を全部同じにするとマッチングの手間が減る」って言ってましたよね?
飯島:そうです。家事を減らすために一時期、子どもの靴下も全部同じにしていて、マッチングする手間を省いていました。同じものだと片足分穴が空いたとかなくなったとか、そういう事態にも対応できます。
あと家の家具選びはお掃除ロボット優先で決めます。ダイニングの椅子はひじ掛け部分をテーブルに掛けられ、お掃除ロボットが下に入る事ができるかを綿密に計算しました。
― なるほど、生活の中での“効率化”の工夫がすごいですね!箸や靴下を同じにしてマッチングの手間を省くなんて、思いつかなかったです。家具の選び方にまでお掃除ロボットを基準にされているのも、まさに“働く親”の知恵と工夫。
飯島:いや、大げさ(笑)
― そんなことないですよ!こうした日常のアイデアが、仕事の段取りや発想にもつながっているのかもしれませんね。
― 経営企画室:では次に池田さん、お願いします。
池田:私は正直全然両立できてないです。もう日々とりあえず乗り切っているだけなんですけど、色んなことを丁寧にするのは本当に諦めています(笑)あと仕事面は同僚に頼れる部分は頼ったり。
― 諦めていることは、例えば何ですか?
池田:例えば、私が家事で一番苦手なのは料理で、その部分を自分だけで頑張ることを諦めました。平日は生協のミールキットに頼ってそれで手を抜いて少し余裕を出しています。
― ごはん作りをちょっと手放して、その分ゆとりを持てるってすごく大事なことだなと思います。同僚に頼るというのは例えばどういったことですか?
池田:忙しい時は難しいですが、子どもが体調を崩して休まなければいけない時などは、自分以外にも対応可能な仕事は、周りの方にお願いしています。
支援者サービス課は子どもがいる人も多いので、子どもの体調などで急に休んだりすることもあるのは仕方ないですし、子育てだけでなく、職員全員にそれぞれの生活があるので、チームとして仕事を進めることの大切さを実感しています。
― そうですよね。特に子どもの体調は親でも読めないですよね。それに業務の非俗人化が進み、特定の人に業務が集中しないようにしているため、必要に応じて周りに業務を引き継いだり、サポートをお願いできる仕組みづくりができあがりつつありますよね。
では次、佐藤さん、お願いします。
佐藤:自分が解決しているというよりも、僕が仲間にお願いしている部分なのですが、例えば、子どもの習い事の迎え方とか、ちょっと参観日があってちょっとどうしても1時間とか数時間抜けなければいけない時にミーティング等ちょっとずらしてもらえませんか?と上司に相談するのですが、配慮してくれます。それが本当ありがたいです。皆さん多分色々あるので、そこをうまく調整しようねっていうところがあるんですよね。
― みんな、何かしら抱えていて、その状況を仲間同士で想像しようとしているというのは、一緒に働く仲間としてもとても心強いですよね。
飯島:そうですね。お互い様ですよね。思ったのですが、「両立できているかどうか」って、自分や周囲の捉え方次第ということもあるのかもしれません。例えば夕飯が「コンビニのお惣菜」だったとして、「時短して家事と両立するため」に買う人もいると思うんですけど、「コンビニのお惣菜=手抜き=仕事と両立できていない」って考える人もいるかもしれないです。仕事を同僚に代わってもらうことも同様です。自分含め周囲の人や職場の「両立」の捉え方次第で、同じ事でもある人は「両立できている」と考え、別の人だと「両立できていない」と思ってしまう。最初に私が、「両立の難しさはそれほど感じてない」と言いましたが、私が呑気なだけで他の人から見ると「それ両立できていない」ってなるかもしれません。
― たしかに、「両立できているかどうか」って、つい客観的な基準で判断しようとしがちですけど、実はその人自身がどう感じているか、どう捉えているかがすごく大事なんですよね。
完璧を目指すより、自分なりの「ちょうどいい」を見つけて、それを肯定できる環境やマインドが大切なんだなと、改めて感じました。
―それぞれの想いが、団体をつくっていく──未来を語る3人の声
― では最後に、今後団体の中でどんな存在になっていきたいか、おしえてください。
飯島:私はこの団体に長くいるのと、産休・育休を取った第一号で、この団体に勤務しながらライフステージの変化を経験しました。
自分の時間や家族の時間など、子どもがいる・いないにかかわらず、色んな人が「仕事以外の時間を必要としている」と思います。病気等の治療や 家族の介護、子どものいる海外駐在スタッフなど、色んな人が色んな事情を抱えて働いているのを今までみてきました。
今後も様々なバックグランドを抱えた人が入ってくると思いますが、私の経験も活かして、それぞれ事情があるよねという配慮しながら、皆がそれぞれの力を発揮していけるような職場にしたいなと。
― 私たちとしても、これからもいろんな背景を持つ人が安心して働ける職場にしていきたいと思います。
では次に池田さん、お願いします。
池田:入職して月日は経ったんですけど、私は飯島さんや佐藤さんみたいに何か専門性があるわけじゃないですし、皆を引っ張っていくような、そういうキャラクターでもないと自覚しています。それでも、私の仕事を見て、少しでも手本にしようとか、そんな風に思ってもらえるような存在になれればいいなと思います。
― ありがとうございます。
誰かを引っ張るって「前に立つこと」だけじゃなくて、日々の丁寧な仕事や周りへの気配りが自然とチームを支えてたりするんですよね。次に佐藤さんお願いします。
佐藤: 僕はまだ入職して一年経っていないくらいなんですが、グッドネーバーズ・ジャパンをもっと皆に知ってもらいたいという気持ちがあります。グッドネーバーズ・ジャパンはこんなことをしていて、こんな活動をしてるんだよっていうのをもっと広めていきたいです。そして団体規模も大きくなっていって欲しいと思っています。そんな中で、僕が今まで経験してきたことを、新しく入ってくる人たちにも繋いでいけるような事が出来たらと思います。
― 佐藤さん、ありがとうございます。
広報活動強化は、まさにこれからの成長には欠かせない部分ですし、団体が大きくなることで、さらに多くの人たちに影響を与えられるようになると思います。これまでの経験を活かして新しい仲間たちへのサポートも、すごく大きな価値になりそうですね。
編集後記(経営企画室)
グッドネーバーズ・ジャパンでは、家庭やライフスタイル、一人ひとりの異なるバックグラウンドやそれぞれの視点を大切にしながら、それぞれの「やりたい」をカタチにする働き方を応援しています。自分自身の時間を大切にしながらも、目標達成に真摯にコミットし、柔軟な働き方を実現する。それが自然にできるのは、互いに「お互い様」と支え合える関係性があるからこそ。もしあなたが「NGO/NPOってハードルが高そう」と思っていたとしたら、ぜひこの記事をきっかけに、等身大で働ける場所として、グッドネーバーズ・ジャパンを知ってもらえると嬉しいです。